ワイングラス

VOICE / 若松潤哉

有機農家のモノづくり魂に火をつけたワインプロジェクト

わかまつ農園の若松潤哉です。農薬や化学肥料に頼らない有機農法で、甘夏やびわ、オリーブ、野菜などを栽培する有機農家をしています。今回、有機ブドウの栽培に関わらせてもらうことになりました。

実は、私、ワインプロジェクトに関わるのに、アルコールが飲めません。お酒が体に合わない体質なんです。だから、ワインよりもウェルチのブドウジュースの方が好き(笑)。それなのに、どうしてワインプロジェクトに関わるのかと言うと……モノづくりが好きだからです。

私は今、15品種程の果樹や野菜を、農薬を使わない有機農法で育てています。ワイン会のメンバーから声をかけてもらい、わかまつ農園としてではなく、ワイン会のメンバーとしてブドウを育てることに興味が湧き、“みんなで関わる”というプロジェクトのスタンスにも共感し、メンバーに入れてもらうことになりました。

実際に、ワインプロジェクトに関わりだすと「ワインが好きな人は多いんだな」ということに気付きました。「ワイン用のブドウの栽培をしている」という話をすると、話を聞く人の表情が変わるんです!! 品種によって、また切り口によって、こんなにも周りの反応が違うんだ! ならば、みんなの興味があるワイン造りを一緒に楽しみ、絶対成功させたいと思うようになりました。

わかまつ農園は、農園で作った野菜や果物をピザやお菓子に加工し、カフェ「お菓子と暮らしの物 りた」で販売しています。メニューづくりにはこだわりがあり、「カフェで提供するものは、自分たちで作る」というのがスタンス。かき氷に使う練乳やかき氷シロップ、ガムシロップをはじめ、お店の看板メニューである天然酵母ピザのトマトソースやマヨネーズ、パンケーキのチョコレートソースなんかも全て手作りです。

そこには「添加物を使わない無添加メニューを提供したい」という思いがあるのはもちろんですが、モノづくりが好きという思いが大きな原動力になっているのだと思います。私は農家になる前は飛行機の整備士をしていました。整備士もまさにモノづくりの仕事。本当に重要なことは何か、何が問題なのかという分析を日々繰り返します。これは、問題の原因を探し、答えを導き出すことが好きな私にはピッタリの仕事でした。整備士の経験と、興味あることに没頭する性格が相乗して、こだわりのメニューが生まれています。また、ヨーロッパとは違う高温多湿な糸島でのブドウ栽培も楽しめるのだと思います。

ワインプロジェクトに関わり始めて2年。ワインの勉強をしていく中で、ワインとわかまつ農園で作っている甘夏精油の製造工程が似ていることを知りました。質の高い蒸留をすれば、質のいい精油ができます。同じように、質の高い醸造で、美味しいワインを造りたい! と、醸造にもどんどん興味が湧き、有機農家のモノづくり魂に火がつきました。

いずれは自分が作っている甘夏でも醸造をやってみたいですね。でも、それはまだまだ先の話。今や有機農家となった私が、農業を始め、加工業、飲食業、宿泊業とプロセスを踏んで進んできたように、皆さんに注目される糸島ワインを造るために一歩一歩進んでいきたいと思います。

プロジェクトでは、多くの人たちが同じ目標に向かって情熱を注ぎます。それぞれ別の道を歩んでいる人たちが、同じ目標に向かって進むことって、すごいことだし、大事なことだと思っています。それは、奮闘の日々とも言えます。カタチにするのも大事ですが、プロセスも大事です。それぞれの価値観を合わせながら、尊重と感謝を忘れずに、希望を持って取り組みたいと思います。

若松潤哉

以前は航空整備士として働いていたが、自分の生き方を見直す機会に直面し、農業への転身を決心。福岡県糸島市へ移住する。《食を通して未来へつなげる》を目指し、農薬や化学肥料を使わない有機農法で甘夏みかんやびわなどの果樹や野菜を栽培している。

2017年からは自家農園で採れた作物を加工した「農香シリーズ」を販売。洗剤や保湿クリーム、黒豆茶や糸モナカなどを展開している。また、商品を販売するだけでなく、人と人が繋がる場が必要だと考え、2021年8月にカフェ「お菓子と暮らしの物 りた」をオープン。2024年8月には、農業体験ができる簡易宿泊所を開業予定。店名の「りた」は自利利他円満から名付けた。自分だけでなく、周りのみんなも一緒に幸せになる場所づくりを目指している。

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