VOICE / 金子真之介

私は2012年、自然農との出会いをきっかけに糸島市に移住しました。移住というと大袈裟になりますが、実は、おとなりの福岡市で生まれ育ちました。

糸島にて、土に触れ、風に触れ、水に触れ、生き物に触れ、四季の美しさと移ろいを感じながら暮らし、「自分にできるコト・やらなければならないコト」を模索して出たひとつの答えが、私の店「と金」です。

「と金」のコンセプトは　“おいしく・たのしく・じみぶかく”です。糸島の食材を、糸島のお水で調理して、糸島の作家の器で食べていただく。ただそれだけのお店です。

そっと寄り添うような日本ワインも立役者となっています。糸島にもワインがあったら良いのになぁと口癖のようにぼやいていたところに糸島ワインプロジェクトのお話が舞い込んできました。糸島の風土が表現されたワインを飲みたい、そして、造ることにも参加したいと即答しました

集められたスペシャリストだらけの顔ぶれにもワクワクしました。肩ひじ張らず飲めるワイン、今年はどうだったとか、去年はああだったとか、毎年、みんなでワイワイ言いながら、どぶろくを飲むような感じのワイン、季節が移ろうごとに合う酒肴も変わるし、それをフワリと包み込んでくれるワイン…… と、ニヤニヤしながら日々妄想中です。

ワイン造りは文化を創ることだと思っています。一世代で何か結果が出るわけでは有りません。私たちの次の世代、またその次の世代にこの地で暮らしの中にワインが普通にあると嬉しいですね。その第一歩に携われることに心から感謝しています。